【完全ガイド】メキシコのIMMEXプログラムとは?輸出製造業が知っておくべき仕組み

【完全ガイド】メキシコのIMMEXプログラムとは?輸出製造業が知っておくべき仕組み

 

メキシコに工場を建てる、または生産拠点を移す際、多くの日本企業が必ずと言っていいほど検討することになるのがIMMEXプログラムです。

「マキラドーラ」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、IMMEXは、その仕組みを引き継ぎ、発展させた現行の制度です。この記事では、IMMEXプログラムの基本的な仕組み、対象となる企業、メリットと注意点について解説します。

以前ご紹介したNOM規格・関税番号(HSコード)の記事と合わせて、メキシコ進出準備の参考にしていただければと思います。

 

 

IMMEXプログラムとは

IMMEX(Industria Manufacturera, Maquiladora y de Servicios de Exportación:輸出製造業・マキラドーラ・サービス産業振興プログラム)は、輸出を目的とした製造業に対し、原材料・部品・機械設備などの一時輸入にかかる関税・付加価値税(IVA)を免除または繰り延べる、メキシコ経済省が運用する制度です。

かつては「マキラドーラ制度」と、輸出のための一時輸入措置である「PITEX」という、2つの別々の制度が存在していましたが、2006年にこの2つが統合され、現在のIMMEXプログラムになりました。手続きの簡素化と、輸出義務条件の緩和が図られています。

 

なぜこの制度が重要なのか

通常、メキシコに機械や原材料を輸入する際には、関税や付加価値税(IVA、一般税率16%)がかかります。IMMEXプログラムに登録すると、「輸出することを前提に、一時的にメキシコ国内に持ち込む」という扱いになり、これらの税金が免除・繰り延べされます。

日本から工場設備を輸入し、現地で組み立てた製品を再び海外(アメリカ、日本、他の中南米諸国など)に輸出するというビジネスモデルの企業にとって、この税制優遇は、事業の採算性を大きく左右する重要な制度です。

 

 

IMMEXプログラムの対象となる主な形態

IMMEXプログラムには、事業のスタイルに応じて、いくつかの登録形態(モダリティー)があります。

 

産業製造型(Industrial)

自社で製造設備を保有し、輸出向けの製造を行う、最も一般的な形態です。多くの日系製造業がこの形態で登録しています。

 

 

シェルター型(Albergue)

外国企業が、メキシコに独自の現地法人を設立せず、シェルターサービス会社(現地の代行事業者)を通じて製造を委託する形態です。現地法人の設立・労務管理・税務対応などをシェルター会社に任せられるため、メキシコ進出の初期段階で、まずスモールスタートしたい企業に選ばれることが多い形態です。

 

 

サービス型(Servicios)

製造そのものではなく、輸出関連のサービス(設計、ソフトウェア開発など)を行う企業向けの形態です。

 

 

その他

複数の関連会社をまとめて管理する「コントローラー型」、製造設備を持たない企業が第三者に製造を委託する「委託加工型」など、事業構造に応じた形態が用意されています。

 

 

IMMEXプログラムに登録するメリット

  • 一時輸入する原材料・部品・梱包資材・機械設備にかかる関税・IVAの免除または繰り延べ
  • 認定通関業者(AEO)モダリティー等、追加的な認定制度への登録が可能になる場合がある
  • 輸出主導型のビジネスモデルにおいて、コスト競争力を維持しやすくなる

 

 

登録・運用にあたって、押さえておきたいポイント

正直にお伝えすると、IMMEXプログラムは「登録すれば終わり」という制度ではなく、登録後も継続的な義務が発生する制度です。以下は、時期によらず共通して意識しておくべきポイントです。

 

輸出比率の要件がある

登録には、一定水準以上の輸出実績(金額、または販売額に占める輸出比率)を満たすことが求められます。輸出比率に関する具体的な要件は、経済省が定める規則(Acuerdo)によって見直されることがあるため、申請時点での最新の要件は、必ず経済省または通関の専門家にご確認ください。

 

 

継続的な報告・在庫管理の義務がある

IMMEX登録企業には、当局への定期的な実績報告義務があります。また、一時輸入した原材料・部品の在庫を正確に管理する体制(税関のシステムとの連携を含む)の維持も求められます。この管理体制が不十分な場合、プログラムの認可が停止・取り消しになるリスクがあります。

 

 

制度自体が、比較的変更されやすい

IMMEXは政令(大統領令)によって運用されているため、政権の交代や、貿易相手国との協定見直しのタイミングなどで、ルールが比較的大きく変更されることがある制度です。

特に、米国・メキシコ・カナダ協定(T-MEC/USMCA)の動向は、IMMEXプログラムの運用にも影響を及ぼす可能性があるため、継続的に注視する価値があります。

 

 

日本からメキシコへの輸出そのものには、直接の影響はない

ここで整理しておきたいのは、「日本からメキシコへの輸出」と「メキシコからアメリカへの輸出」は、全く別の協定の話だという点です。

日本とメキシコの間の貿易は、T-MECではなく、「日墨EPA(日本メキシコ経済連携協定)」という、2005年発効の独立した二国間協定でカバーされています。この協定により、日本とメキシコの貿易額の約96%で関税が撤廃されており、T-MECの見直しによって、日本からメキシコへの機械・部材の輸出に新たな関税がかかるようなことは、基本的にありません。

 

一方、IMMEXプログラムで免税輸入した日本製部材を使い、メキシコで加工・組立した製品を、さらにアメリカへ輸出するケースでは話が変わります。

この「対米再輸出」の部分には、T-MECの原産地規則(ルール・オブ・オリジン)が直接関わってきます。

日本は北米自由貿易圏のメンバーではないため、日本から輸入した部材は、原則として「非原産材料」として扱われ、メキシコでの加工が原産地規則を満たさなければ、対米輸出時にゼロ関税の恩恵を受けられません(なお、非原産材料の価値が製品価格・総コストの10%以下であれば無視できる「デミニマス・ルール」という例外もあります)。

 

つまり、「メキシコを北米市場向けの生産拠点として活用する」という戦略を取る日系企業にとっては、T-MECの原産地規則の動向が、事業の採算性を左右する重要な論点になります。

 

 

IMMEXプログラムの検討で、通訳が必要になる場面

IMMEXプログラムの登録・運用にあたっては、以下のような場面で、日本語⇔スペイン語の技術通訳・ビジネス通訳、調査が必要になることがあります。

 

  • シェルターサービス会社、通関業者、現地コンサルタントとの打ち合わせ
  • 経済省・税関当局とのやり取りにおける同行通訳
  • 機械設備の一時輸入に関する、現地スタッフとの技術的な確認作業
  • 監査・報告書作成にあたっての、現地担当者との意思疎通

 

こうした場面では、単に言葉を訳すだけでなく、制度の背景や、製造業の現場に関する基礎知識を持った通訳が、スムーズなコミュニケーションの助けになります。

なお、IMMEXプログラムを活用する日系製造業は、レオン(グアナファト州)をはじめとする、バヒオ地域に集中する傾向があります。工場設立を検討しているエリアが決まっている場合は、都市別の記事もあわせてご参考ください。

 

最新の制度改正や、T-MEC見直しなど時事的な動向については、noteで随時解説していますので、あわせてご覧ください。

 

メキシコでの工場立上げ・設備据付・技術指導などに関わる通訳を検討されている方は、スペイン語通訳サービス|EXOTISMO INTERPRETEもあわせてご覧ください。

 

 

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