メキシコ在住が本場のテキーラとは何か?原料、種類などを解説
テキーラって何?原料?製造方法?
テキーラ/ Tequilaとは、メキシコのハリスコ/Jaliscoとその周辺(5つの州と181の村)の名前です。
アガベ・テキラナ・ウェベル・バリエダ・アスル/Agave Tequilana Weber Variedad Azulと呼ばれる竜舌蘭(りゅうぜつらん 通称:アガベ)を51%以上含む、2回以上蒸留をした蒸留酒で、度数は35〜55度で、メスカル(竜舌蘭から作られるメキシコの酒の総称)の一種です。
アガベは古代より神聖なもので、アステカ文明では、マヤウェル/Mayahuelというアガベの神も存在します。見た目はアロエのようで、植物学的にはサボテンではなく、ユリ科です。
蒸留酒なので、焼酎のように糖質がなく、太りにくいです。



名前の由来はハリスコ州にあるテキーラという町で生産されるためで、テキーラを飲みまくるツアーもあります。
ザックリ言うとテキーラでアガベ・テキラナ・ウェベル・バリエダ・アスル/Agave Tequilana Weber Variedad Azulで作られたものがテキーラでそれ以外のアガベで作られたものがメスカル/Mezcalと呼ばれます。
メスカルもメキシコ発祥の酒です。
メキシコの酒、メスカルとは?現地在住が解説、テキーラとの違い、虫、おすすめ

基本的にメキシコでは他の飲み物で割ったりせず、そのままショットグラスで飲みます、または、グラスに氷を入れて飲みます。飲んだ後にライムをかじり、塩を舐めることも多いです。


テキーラの製造方法
1:アガベの収穫


アガベは種類や大きさにもよりますが収穫まで8年かかります。
ヒマドール/Jimadorと呼ばれる、アガベのことを知り尽くした人が畑から専用の農具で収穫します。
根本から使うので、一度収穫してしまうと、また育てなければいけません。親木から蕾をとり、再び栽培するので大量のクローンを作ることにより、品質は安定しますが、交配がないため、将来病気などの問題が発生する可能性があります。

ヒマドールは葉を全て切って行き、茎の丸い部分だけにします。この茎だけの部分をピーニャ/Piñaと呼びます。
1つ25〜45kgぐらいあり、ピーニャが製造業者によって違うので、味に違いが出ます。
2:蒸す

2つの方法があり、伝統的な方法はレンガまたはコンクリートの窯で24時間、60度で蒸気を入れ圧力をかける方法です。
窯はピーニャを50トンまで入れることができるものもあります。その後、24時間休ませます。これにより味が強くなります。

もう1つの方法は、ステンレスのタンクで、蒸気と圧力をかける方法で、タンクは縦型と横型があり、縦型はピーニャを一度持ち上げて上から下に入れます。この方法は、8時間で完了できるので、現在は主流です。
一般的にこの2つの方法で、味は同じとされていますが、一部では、伝統的のゆっくり圧力かける方が味が、マイルドになり、タンクで早くした方は、生のパンチがある味になるという意見もあります。
加熱するとピーニャの色は茶色になります。
3:すり潰してエキスを抽出

細かく砕いて茶色のエキスを抽出します。昔の製法では2トンの岩の車輪ですりつぶしていました。
現在はほとんどの業者が専門の機械を使い、すり潰しからエキス抽出まで素早く行われていますが、昔の製法をしている業者もあります。
搾りカスの繊維状のものは、家具などのクッション部分に使われることもあります。
4:発酵

酵母を加え常温で発酵させアルコールを作り、味と香りが決まる最も重要な工程です。
ここでアガベ100%のテキーラにするか、砂糖を加え、ミクスト(アガベ100%じゃないもの)にするか決定します。
発酵を促す触媒を加える場合は36〜72時間で完了します、加えない場合は5〜10日かかります、この工程ではアルコール度数は5%程度です。
5:蒸留

基本的に蒸留は2回あり、1回目は、不純物を取り除くためにします。この時アルコール度数は20〜30度です。
2回目で目的の度数(35〜55度)に調節します。
6:熟成

オークの樽で熟成させます。この樽は最大600Lです。樽で熟成させている間に、酵母の発酵を促すためにクラシックの音楽を聴かせるテキーラもあります。
テキーラブランコはここで熟成されず、瓶に入れられて終わりです。



なぜ、塩とライムと一緒に飲む?飲み方
諸説ありますが、1つはアルコールの強い刺激を和らげるため、もう一つは、昔、品質がすごい低いテキーラ(テキーラではない)が売られていて、そのひどい味をなんとかして楽しむために考えだされた方法という説です。
メキシコでは、手の甲に塩を置き、舐めてからショットグラスを飲み干し、ライムをかじります。ショットグラスの縁にあらかじめ、塩がつけられている時もあります。
メキシコでは、日本にある黄色いレモンはほとんど見かけません。
テキーラの種類、高いテキーラは何が違う?
テキーラには蒸留後の熟成期間で4つの種類があります。熟成期間が長いほどまろやかになり、色も濃く、値段も高くなります。
また、アガベ51%以上のものとアガベ100%と分けられます。(51%以上のものは何か混ざっているということです)
アガベ100%のテキーラの方が、味がソフトで上品です。テキーラのキツいアルコールで嫌な思い出がある人は、おそらくアガベ51%以上のものを飲んでいたことでしょう。(日本にはたくさん51%以上のものが売られています)
アボカンテ/abocanteというバニラなどの香り、甘みを加える工程の有無もあり、一般的にはアボカンテされたものは高いです。
一般的には値段の高さは熟成期間に比例し
ブランコ<レポサド<アネホ<エクストラ・アニェホ<レセルバ
となります。
テキーラ・ブランコ/Blanco、またはプラタ/Plata、シルバー

ブランコの意味は「白」、プラタの意味は「銀」です。アボカンテ無し。
透明のテキーラで熟成期間無しの一番ピュアでアガベの味が強いものと言えます。
マルガリータなど、カクテルに使われるのがこのタイプです。日本ではテキーラといえば、このタイプが一般的かもしれません。
テキーラ・レポサド/Reposado

レポサドは「寝かせた、休憩」という意味です。アボカンテ有り、ブランコを2ヶ月以上、1年未満の間、オークの木の容器の中で熟成されたものです。
ブランコより上品でまろやかで、世界で一番取引が多いタイプです。
テキーラ・アネホ/Añejo

アネホは「熟成」という意味です。アボカンテ有り、茶色のテキーラで1年以上(一般的には3年)オークの木の容器の中で熟成されたものです。
スペイン語では「アニェホ」と言います。
木の味、香りが強く、是非、氷も入れずにそのまま飲むことをオススメします。
テキーラ・エクストラ・アネホ/Extra Añejo

アボカンテ有り、濃い茶色のテキーラで3年以上オークの木の容器の中で熟成されたものです。
甘みが強く、アルコールのエグみがなくなりシロップのような味がします。
このあたりから庶民が手を出せない値段になってきます。
テキーラ・レセルバ/Reserva

アボカンテ有り、8年以上熟成されたテキーラで、味、香りは一番強く、値段も高いです。蒸留の工程も長い時間をかけて作られます。
『テキーラのコニャック』とも呼ばれ、なかなかお店にも有りません。

テキーラ・オロ/Oro、またはホベン/Joven
オロは「金」、ホベンは「若い」という意味です。アボカンテ有り、ブランコとレポサドまたはアネホを混ぜあわせたもので、色もレポサドまたはアネホの茶色を薄くした色です。
基本的に安物が多いです。味も微妙です。
テキーラ・クリスタリーノ/Cristalino

1973年から知られるようになった見た目はブランコと同じ透明のテキーラ(微妙に色がついているものもある)で、熟成の時に茶色く色がついたテキーラを透明にする処理をされたものです。
名前はアニェホ、エクストラ・アニェホ、またはレポサドとなっていても、色が透明な場合は、この処理が熟成(アネホ、エクストラ・アネホ、またはレポサド)の後にされたクリスタリーノのテキーラということです。
一般的な方法は熟成させたテキーラに炭の粉を入れ、紙でフィルターします。
この処理をちょうど良い時間と炭の粉の量ですることにより、熟成の時についた色だけが取り除かれ、まろやかさと香りが残り、口当たりが滑らかになるので飲みやすく、テキーラが苦手な人でも大丈夫かもしれません。
時間と手間がかかるため熟成だけのものより値段は高くなりますが、人気です。
テキーラ・ロサ/Rosa

ピンク色のテキーラでワインの樽で熟成させたものです。一般的にはブランコで熟成期間は短いです。ほのかに花のような香りがします。
ピンク色のテキーラ!その名もテキーラ・ロサをメキシコ在住が紹介


テキーラのブランド、銘柄
法律で決められたブランドしかテキーラは製造できません。
ホセ・クエルボ/Jose Cuervo
日本でもよく見かけるテキーラのブランドで、庶民的なテキーラから高級シリーズまであり、現在世界的に広く知られていて、カクテルにもよく使われます。
1758年、ホセ・マリア・グアダルーペ・デ・クエルボは、スペイン国王からテキーラを商業的に生産する最初の公式憲章を受け取った後、1795年まで製造を禁止されました。
最初のヴィノ・メスカル・デ・テキーラ・デ・ホセクエルボの販売を開始しました。 クエルボはそれ以来、ラテンアメリカで最も古い蒸留所であるラ・ロヘニャでテキーラを生産しています。
ホセ・クエルボ・エクスプレスというテキーラを飲みまくれる電車もあります。
ミル・オチョシエントス/1800

ホセ・クエルボの高級シリーズで数々の賞を取っています。1800はスペイン語でミル・オチョシエントスと言います。由来は1800年に初めて熟成に成功したからです。
1800のレビューは別の記事で↓↓
本場のテキーラのホセ・クエルボ1800の4種類をメキシコ在住がレビュー
ドン・フリオ/Don Julio

1942年にドン・フリオ・ゴンザレス/Don Julio González(当時17歳)という男が自分のテキーラを作り始めたのが、ドン・フリオ/Don Julioの始まりです。
1947年には自身の蒸留所を手にし、1987年に名前をドン・フリオ/Don Julioとしました。
彼は10歳から家計を助けるために働き始め、世界的な豪華で素晴らしいテキーラを作るという情熱があったので、量より品質を重視し、アガベを選び、72時間の蒸しの時間をとり、伝統的な背の高い瓶をやめ、テーブルの上に置けるように背の低い瓶を採用しました。
レビューは別の記事で↓↓↓
本場高級テキーラのドン・フリオ/Don Julio5種をメキシコ在住がレビュー&おすすめ
エル・ヒマドール/El Jimador

アメリカでたくさんの賞を受賞しているテキーラメーカーで、NEW MEXというカクテルも缶で発売しています。
値段は安めですが、テキーラの甘みをしっかり持っているのでとりあえず、本場のテキーラを体感してみたい人におすすめです。味はクセがなく飲みやすいです。
本場テキーラのエル・ヒマドール/El Jimador4種をメキシコ在住がレビュー!!
テキーラ・パトロン/TEQUILA PATRÓN

世界中で飲まれている高級テキーラです。
パトロン専用の農場で栽培されたアガベを使い、60の工程を経て作られます。特徴としては手作りの瓶で凹凸があることと、甘みがとにかく強く、炭酸割りで美味しく飲めます。
1989年に設立した新しいメーカーですが、工程は伝統的方法で、レンガ作りの窯で蒸し、2トンの岩ですり潰し、手作りの樽で長い時間熟成させていました。種類も多くエクストラ・アニェホは10年間熟成したものです。
本場高級テキーラのパトロン/PATRÓNをメキシコ在住がレビュー
エラドゥーラ/HERRADURA

1870年に設立し、カサ・エラドゥーラ/CASA HERRADURAという敷地に人々は住み込みで伝統的製法で製造していました。工程は近代化されましたが、カサ・エラドゥーラは残されています。
カサ・エラドゥーラまではエラドゥーラ・エクスプレスというテキーラを飲みまくれる電車で行くことができます。
エラドゥーラ/HERRADURAはスペイン語で「馬の蹄鉄」です。ロゴにもなっていますが由来は縁起が良いからです。
本場テキーラのエラドゥーラ/HERRADURAの4種をメキシコ在住がレビュー
トレス・ムヘレス/Tres Mujeres

アマティタン/Amatitánに農場がある比較的新しいメーカーで、ツアーで農場見学もできます。特徴は強い甘みで、エクストラ・アネホを標準品として作っているメーカーです。流通量は少なく、メキシコでもあまり見かけません。
名前の意味は「三人の女性」で創始者が、三人の娘を持っていたことが由来です。
本場の高級テキーラ、トレス・ムヘレス/Tres Mujeresをメキシコ在住がレビュー
サウザ/Sauza

ドン・セノビオ・サウザ/Don Cenobio Sauzaによって設立されました。テキーラ/tequila」と名付けたのも彼です。
その息子のドン・エラディオ・サウザ/Don Eladio Sauzaが様々な種類のテキーラを作りました。
農場はメキシコのハリスコ/Jaliscoにあり、カサ・サウザ/Casa Sayuzaと呼ばれて観光地になっていてツアーで行けます。日本でも比較的安めの値段で手に入りますが、超高級シリーズもあり、歴史のあるメーカーです。
サウザ/Sauzaのテキーラをメキシコ在住がレビュー
センテナリオ/CENTENARIO

1853年に設立した庶民的なテキーラとして、メキシコのコンビニには大体置いてあり、全てアガベ100%で、高級シリーズもあります。コスパが良くメキシコ人にも人気があります。
本場テキーラのセンテナリオ/CENTENARIOをメキシコ在住がレビュー
メキシコ在住がおすすめ、本当に美味しいテキーラランキング TOP5


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